2012年2月4日土曜日

悪酔い


いつまでも悪酔いが醒めないので
所かまわず反吐をぶちまけると
少しだけ詩人になったような気になる
吐寫のやりようにも多少のエレガントさや
または気の利いたエスプリなんかを求めれば
居酒屋のトイレや電柱の影では物足りないので
俺はカビくさいスーツをまとい
ボサボサの髪を少しは整えて
俺とは何の関係もない賑わった立食パーティや
華美な結婚披露宴なんかに飛び込んでは
せっつく胸のむかつきの奔放さや
不整合な一瞬の静けさまたは
ありきたりな喉の酸っぱさのままに
紳士や淑女の衣裳へ反吐をぶちまける
あたりをびちょびちょに汚して
お高い床材やカーペットも胃酸で焼いて
そこでごめんなさいと土下座して謝って
何万か何十万かの弁償や賠償金を払うくらいなら
俺は反吐で喉をつっかえて死んでいい
俺は悪びれずに反吐を吐き続けて
どうだい俺の胃の内容物は?イカスだろ
これは昨日の晩飯のエビフライ
これは十年前に失恋した時に
ヤケクソで食った煙草の破片だよなどと
場の空気なんか読まずに講釈垂れて
紳士淑女からリンチに遭うべきだ
ゲロ跳ねて服が汚れようが関係ない
胃の中がからっぽになるまで
所かまわず反吐を吐き続ける
悪酔いが醒めないんだ

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