2012年1月25日水曜日
城代家老の反逆
本日も殿の城は堅固でござる
幾重にも取り囲む敵味方を寄せ付け申さぬ
この城はまっこと堅固でござる
この城を殿から任せられておるこの拙者
面はゆくもござるが
まっこと忠義者でござって
日夜殿の御為 城の防衛に奔走してござる
だから本日も拙者
天守閣から城を見下ろし見回りでござる
番兵どもは槍・矛の手入れに余念がなく
太いかんぬきが差された門は堅く閉ざされ
城壁は絶壁の如く高うござって
堀は深く張り巡らされ
何ぴとたりとも侵入でき申さぬ
この城は殿を守る為にあり申す
拙者はこの城を守る為に生き申す
然れども拙者ちかごろ考えてござる
この城を守ることがまっこと
殿の御為になるのかと
殿は本日なにをなされてござるかと言えば
朝も遅くに もそもそと起きられ飯を食い
雪隠にお隠れになり御居眠り
そして昼はなんと春画を眺めて皮つむり
夜にはごろりと横になられ
深更まで さもつまらなそうに
ぐうたらとされておられる
果たして拙者の守るこの城は
まっこと殿の御為になるのでござろうか
拙者は面はゆくも忠義者ゆえ
ここは敢えて叛臣の汚名を着ても
殿に実りある生を全うされて頂きとうござる
拙者は番兵どもに酒を勧めに行き申す
固辞する者等には城代命令で
無理矢理にでも酒を飲ませ
閉ざされた門はかんぬき抜き放ち
掘割には土砂をかけて埋め立ててござる
而して拙者は天守に登り
遠眼鏡で敵城を様子を観察し申す
敵が城から軍勢を率いて出陣でござる!
その夥しい軍勢が殿の城を取り囲んでござる!
拙者の思惑どおり
番兵は酔いつぶれて役に立ち申さぬ
門はかんぬきが抜かれて簡単に開き申す
堀はすっかり埋め立てられて
敵勢は易々と城に攻め入ってござる
拙者は殿の意に背いた事の自責に唸りながら
ひとり天守に篭り敵が殺到するのを待ち受け候
この叛臣、一命を賭してこの罰を受け申す
そうして拙者は一番乗りした一人の敵将と対面し申した
なんと女性(にょしょう)でござった
拙者は一目でその女性に恋慕いたし候
だがそれは実りのない恋でござる
躊躇いもなくその女性は刀を振り下ろし
拙者の首は胴体とおさらばさらばでござる
かくしてこの城はその女性のものとなり申した
殿は女性の虜となり申してござる
新しき城の主となった女性は
この城を破却させ
なんと街に整備してしまい申した
城を守っていた番兵どもは
旅商となって各地の城や街へ旅立ち申した
街では艶やかな遊郭が出来申して
日夜通りがかる男を誘ってござる
街の至るところには
木が植えられ花が植えられ
女性の城はすっかり華やいだ街になってござる
女性の虜になっておしまいになられた殿も
最初はおいたわしやと拙者も嘆き候えど
なんとその虜の暮らしに満足なされ
女性の元に赴いては
仲睦まじゅう暮らされてござる
首だけになった拙者は
これで良しと思ってござる
重い荷の乗った肩も無くなって
すっかり軽くもなったので
拙者ははその軽さのままで天まで昇り申す
遠ざかってゆく華やいだ
女性と殿の艶やかな街を見下ろしながら
拙者は満足に成仏してござる
天晴れでござる!
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